2015年3月5日木曜日

クライミングのリーチについて

今日はクライマーのリーチについて。
ボクはカナダでクライミングしてるんで当然ながらジムでも周りは白人ばかりです。
日本人の中でも小柄なボクは白人社会ではもう子供サイズな体です。
なのでリーチに関してはいつもいつも悩まされてます。

ボルダリングでもロープクライミングでも、普通の人なら楽々届くホールドが
一手手前のフットホールドに指を掛けてからでないと届かないケースは山ほどあります。

昔は背の低い自分を心底恨み、リーチのある普通の人を本当に羨ましく感じました。
でも最近はそうでもないです。
楽しみ方を変えました。

今までは届かなかったことに悔しく思いそこで諦めてましたが、明らかに自分よりも
小さくて小柄な女の子が11bとか(多少は苦労していたけど)登ってるのを見て、
その後デカいカナダ人が全然登れてないのを見比べて、
「やれば出来る!」
と、感じはじめました。

クライミング上達の秘訣(偉そうなこと言えるほど自分は上手くないのですがw)は
身体能力の高さもあるかもしれませんが、経験や練習の他に
「諦めない!」
という根気が一番重要かもしれません。
特に背が低くてリーチの短い人は、根気に加えて探究心だと思います。

正直なところ、リーチがあると無いとではあるに越したことはないです。
リーチが無くて届かなくて登れないと言うなら、これはもう手段は3つしかありません。

1つ目は諦める。
「自分は背が低いから・・・、絶対無理」
自分が昔はじめて10aが登れて嬉しくて、よしっ、次は10bだ!と挑戦したけど、
全く登れなくて、諦めたことがあります。
「このルートは自分向きではない」
とか、なんか自分に言い訳してましたw

諦めたら、それ以上はあり得ません。それ以下のグレードで今後楽しんでいくしか
手段はありません。

2つ目はズルをする(おいおい!って感じですがw)
特にレクリエーションカナディアンクライマーのなかでは通例化してますw
「だって仕事でもないし、ただの遊びなんだから・・・、
この部分だけこのホールド使っていい?いいよね?いいだろ?
ヨシ!登れた!」
みたいな感覚です。

確かにただの遊びなんだし、楽しくてナンボの世界です。
多くの初級から中級クライマー(カナダ人)はみんなこんな感じですw
「あっ、そこ、ズルした! なんで認めないからね!!」
なんてビレイヤーが言ってるのは真面目な日本人とか熱血カナディアンしか
存在しません。

3つ目は諦めない(ん?)
さっきの1つ目の諦める。の真逆になります。これはもう自分に言い聞かせている部分でもあるんですが、諦めた時点でもう終わりです。
とにかく考えて、リーチの短い自分ならではの独特なムーブやアプローチを
考えまくることです。

背の高い人だと楽々届くところにあるホールドがリーチの短い背の低い自分には
どんな工夫しても届かないとき(そう感じる)があります。
昔は(今よりも数段単純なオツムだったので)届かないなら飛べ!みたいにランジで
やり過ごしてばかりでした。
最近はもう少しオツムも柔らかく(?)学習能力も体得してきたので、
なるべく飛ばないように、そしてあらゆるアプローチを試みます。

たとえばホールドとホールドの間にある小さなフットホールドもリーチの短い自分には
なんとか指を掛けて使っていくしか無いときがあります。

多くの人が右手ー左手ー右手で登っていくのに、自分の場合は、その一つ一つが遠く、
結果的に一手一手がマッチマッチで登らないといけない場合もあります。

いろんな面で体の小さい人はハンデが多いと思いますが、やってやれないことは
無いと思ってます。
みんながパスする極小ホールドを使ったり手数の増えるムーブによって体力や
筋力を人一倍使うことになるとは思いますが、攻略できたときの達成感は他の人たち
よりも数段上のものになります。

しかし問題はさらにここからです。
せっかく苦労して登りきったルート、自分自身を褒めてあげたいところですが、
その後すぐに他の人(自分よりリーチのある人)がいとも簡単に登りきって、
さらにドヤ顔されると、せっかく自分が努力した過程が音を立てて崩れ落ちて行くような
感覚に陥ります。

基本的にジムではボクは常連だし顔見知りも多いし、みんなフレンドリーでいい人ばかり
だけど、根底は白人社会であるということ。
背の低いアジア人のボクが苦労していると、お節介カナディアン?がいろいろと
アドバイスしてくれます。
頼んでも無いのにアドバイスしてくる人は大概自分より下手な人(失礼)だけど、
リーチのおかげでボクより楽に登っている人が多いです。
で、そういう人は自分のレベルより少し上のグレードを登るときは、当然ながら
核心部分で苦労してます。
普段からリーチで登っているから、その核心部分がただの体重移動とかホールドの持ち方で超えていくことに気づかず、最終的にはズルして
「あそこは難しいけど・・・、でも登れた!」(それって、登れて無いじゃんw)
って、またドヤ顔してる人がいますw

逆に、
背の低いアジア人のボクが簡単そう(?)に11bを登ってたとします。
それを見て、
「あいつが登れんだから、これきっと簡単なんだ」的に
安易に登りはじめ、結局登れなくて降りてきて、
「なんであいつが!なんであいつが!」
みたいになってるのみるとちょっとうれしいです(オレ、ちょっと意地悪かなw)

なかにはカナディアンでは珍しく謙虚な人がいて(そういう人は人種差別もしない)
「背の低いあなたは一体どうやって登ったの?」
と、聞いてくる場合もあります。
もしその人が自分と同じくらいの体格でリーチなら自分なりのムーブやホールドの
持ち方をアドバイスしますが、自分より背が高くてリーチが豊富wな人だったら、
登り方も違うだろうし、正直分からないと答えるかもしれません。

リーチだけで登ってボクにドヤ顔する人がもし聞いてきたら逆に
「なんでだろうね?分かんないよ、ラッキーで登れただけだよ!
でもあなたはボクよりリーチもあるし余裕じゃないの?きっと・・・・」
と、軽く煽ってみますw

それくらい普段から背が低くてリーチの短いアジア人のボクは周りから初心者だと
認識されているのでw